・波打ち際の蛍
小説ってのはキャラと感情移入をさせることがミソだったりするんだけど、
そういった意味ではこれはダメ。DV受けてなきゃ分かるわけない。
って訳で主人公の言動にちょっとイラっとすることがちょくちょくありました。
それでも島本さんらしさの、冷たいようで実はすごく熱い感情表現は健在。
なんであんな表現をばさっと書けてしまうのか、毎回感嘆してしまいます。
相手の男性もあまり魅力的とは言えないので、読後感は今までの中で最低ランク。
なんていうかこう、違う意味のリアルで、理解し難いものがある。
帯とかにナラタージュを超えるって書いてたけど、あたしの中では全然だった。
けれどサブキャラがすごく光ってたなぁ。いい人に恵まれてる二人だった。
この本のお陰で従兄弟話がすごく書きたくなりました・笑
・ナラタージュ
これが一番有名なタイトルかな。あたし的にも一番好きな話。
とにかく切ない。感情持ってかれる。
この前の
散文は読み終わった後すぐ書きました。すっごい分かりやすい・笑
あんまり深読みしちゃいけない話だと思ってる。本能で読めって感じ。
過去、自分にあった恋愛と投影しちゃって読み終わった後はすごく胸が痛むかと。
これだけ相手に言えればいいのに。壊れてるって分かっていても。
一生ものの恋愛はすごく痛くて、不意に自分を抉ってしまうものだけど、当時の感情程
自分に正直で大事にして欲しいものはないと思う。
・生まれる森
多分登場人物の名前の所為だと思うんだけど、白ってイメージの話。
実際には夏の話なんだけど、あたしには冬の匂いがする。
人の奥底に隠してる出来事だったり感情だったりを、ストレートでもオブラートでもなく、
ただあるがままに書いてる感じがすごく好き。あたしには描けない。
もう一度触れたら死んでしまう、って冗談でもなく本気で言っているシーンがあるんだけど
そんなわけないじゃん、なんて思わせないんだよね。
本当に死んじゃいそうこの人って思う。
お互いに何処か傷を持っている二人の話なんだけど、決して舐め合いはしない。
かと言ってその傷から逃げているようにも見えない、そんな話。
・リトル・バイ・リトル
後書きで明るい小説にしたかったと書いてあるけど、あたし的に明るいとは言えず。
かと言って暗いわけでもない。
ちょうど今の時期の、夜明けのイメージ。
空の向こう側は明るくなってきたけど、こっちはまだ薄暗い。
これから明るくなっていく。そんな感じ。
お父さんを入れて四人でご飯を食べた時、主人公が先に帰って3000円お母さんに
渡してるんだけど、それをお父さんが受け取ったのか、受け取らなかったのか。
どっちにしろ差し出された時の虚しさはないと思う。幾ら血が繋がってなくても。
人間関係ってほんの少しの綻びでも上手く行かなくなるものなんだ。
・シルエット
3編お話が入ってるんだけど、「ヨル」は15歳に書いたものなんだって。
純粋に驚いた。あたしが15の時、あんな文章なんか書いてなかった。
すごい大人の文章を書いてます。
「シルエット」は17の時に書いたみたいなんだけど、それでも高校生が書くような描写じゃない。
一体どういう人生経験したらあんな文章が書けるんだろうか……。
それでもキャラはちゃんと高校生で。そこに非現実的要素はない。ちょっと複雑な家庭なだけで。
雨の中に閉じ込められるって描写あるんだけど、そこが大好き。
本当読む時は雨が降っていればいいと思う。
順次読み終わったらアップします。